AOMEI Backupper Professional版(AB Pro)の使用方法と評価

今回は、バックアップソフト「AOMEI Backupper」のProfessional版(以下、プロ版)を実際に使ってみて、その所感を述べていく。

個人の場合、日頃意識はしていても定期的にシステムのバックアップをしっかり取っている方は、果たしてどれぐらいいるのだろうか。

今回見ていくプロ版は、AOMEI Backupper Standard有料版個人の利用(PC)を想定したものになる。企業がAOMEIのバックアップソフトを使用する場合には、ビジネス用の「AOMEI Backupper Workstation」や「AOMEI Backupper Server」を検討することになるが、本記事ではそちらは触れない。

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実際の画面

こちらが起動後のプロ版の画面である(既にアクティベーションコードを入力してある))。
メイン機能は、ホームにある「新規バックアップ」「新規同期」である。
各々、詳細を見ていく。

実際の画面

新規バックアップ

新規バックアップには「システムバックアップ」、「ディスクバックアップ」、「パーティションバックアップ」、「ファイルバックアップ」がある。

バックアップ

システムバックアップとは

システムバックアップとは、システムパーティションのイメージ(イメージバックアップ)を作成して、主にCドライブ(OSやHDD)を一つのまとまりとしてバックアップすること。
これはシステムの核となるファイル等のデータの破損に備え、万が一の場合にシステムを復旧させる(バックアップ時のPCの状態に戻す)手段となる。イメージというのは、OS、アプリケーション、ファイル、各種設定などディスク領域におけるシステムのまとまりを指す。
企業であればサーバーの復旧、個人であれば自身のPCの復旧に当たる。プロ版だと個人のPCが主な対象になるので、イメージバックアップと考えると分かりやすい。

システムバックアップの簡単なイメージ

そもそも、なぜサードパーティー製のバックアップソフトを使用するのか。
実際、OSには標準でバックアップ機能は搭載されている。これを利用すればわざわざ他のソフトを使用する必要は無いと思うかもしれない。だが、動作が重かったり、細かな設定が出来なかったりと様々な問題があり、今では非推奨となっている。
よって、コントロールパネルにあるバックアップと復元(Windows7)からシステムイメージの作成はできるが、こちらは通常使用しない。これについて、Microsoftは、次の通り述べている。

他のベンダー製のディスク全体のバックアップ ソリューションを使用することをお勧めします

Windows 10開発中の機能」 システム イメージ バックアップ (SIB) ソリューションより(2021/12/28 時点)

よって、現状ではAOMEI Backupperのような、サードパーティー製のバックアップソフトを使用するという流れになっている。
さて、少々脱線したが、システムバックアップに戻る。

システムバックアップ

システムバックアップをクリックすると、バックアップする対象のCドライブ(Windows)、EFIシステムパーティション(SYSTEM)回復パーティション(WinRE)が表示されている。
実際には使用しているPCの状態、環境によって表示内容も変化するので、これはあくまで一例である。自身のPCの状況がどうなってるか確認したい場合、Windowsでは設定から「ディスクの管理」へ飛べば、現状のディスク領域の使用状況、構成などを確認できる。
EFIシステムパーティション(EFI System Partition)WinREとは何か。まずこれらはCドライブ含め、OSの起動に関係してくるものでプライマリパーティションに属する。起動に必要なブートローダやデバイスドライバ、問題が発生したときに回復ツールを起動させるもので、これらが無いと正常にOSを起動できない可能性がある。

システムバックアップとディスクバックアップの違いは?どちらを使うのか?

AOMEI Backupper には、システムバックアップとディスクバックアップがある。
この両者の違いは何か?まず、ディスクバックアップの画面を見てみる。

初期表示。ディスクを追加をクリック
追加クリック後、ディスクを選択する

システムバックアップの場合には、OS起動に関係するシステムドライブ(C)だけが選択されている状態だったが、ディスクバックアップでは、Dドライブなども含めてディスクをより完全な状態でイメージバックアップする

4つのバックアップ機能の使い分け

では、4つある「システムバックアップ」「ディスクバックアップ」「パーティションバックアップ」「ファイルバックアップ」をどのように使い分ければ良いのか。

まず、ファイルバックアップは正直不要である。ファイルバックアップでは、フォルダやファイルをバックアップできるが、通常単体でバックアップを取るようなことはしない。勿論まとめてバックアップする場合なら使用も頷けるが(実際、AOMEI Backupperにもその機能がある)、基本的に使わないだろう。

メインになるのは「システムバックアップ」と「ディスクバックアップ」だ。
あくまでシステムの核となるデータの破損に備えて、システムドライブだけは最低限バックアップを取っておきたいという場合には、システムバックアップを使用する。
ディスクバックアップなら、システムドライブ含めディスク単位になるので、システムバックアップを包括したものとなりこちらの方が基本的には良さそうに思えるが、例えば、Dドライブなどのデータ量が意外と多かったとなると、バックアップの時間もそれによって長くなったり、不要なデータもバックアップしてしまう場合もあるので注意したい。

勿論、イメージとしてバックアップできるので、ある時点でのシステムバックアップとディスクバックアップを両方とも取っておくのも一つ手だと思うが、いくら圧縮されているからとは言え、何度もバックアップを取れば、バックアップ先のディスクを圧迫するので、この辺りは定期的にバックアップを取るが、運用については個々人の判断に任せるところになる。
ただ、その時点でのイメージ(データ、設定、アプリ、OS等)をバックアップしてあるので、基本はシステムバックアップを取るという理解で良い。

基本的な操作方法とオプション設定

バックアップ方法は、UIも分かりやすく操作も簡単だ。
試しに、パーティションバックアップを使ってみる。

パーティションを追加をクリック
パーティションを選択後に追加を押す
追加中
バックアップ完了
ログも確認できる

バックアップが完了すると、ホームで先ほどバックアップした詳細を管理できる。
また、adi形式でファイルが指定したところに保存されていた。
一応、その他システムバックアップファイルバックアップなども実際に試してみた。システムバックアップの場合には、データが大きくなるので、DASNASにバックアップすることになる。容量が足りない場合、不十分なadiファイルが生成されるだけで、エラーとなるので注意。

ホームに表示される
adiファイル
エラー。容量が足りない場合

操作方法の説明云々について、これは、AOMEI Backupperの「ヘルプドキュメント」がとても充実しているので、正直そちらを参照するのが分かりやすい
所々で日本語のおかしな部分もあるが、初心者でも分かりやすく書かれてあるので、操作方法に困った点があれば、助けになるだろう。

初見でもイメージできる目的別使用手順

本ソフトを初見で使う場合には、以下のように状況別に見ていけば良い。

例①「最低限OSに問題が生じたときに、その時点に戻せるようにできれば良い」
システムバックアップ→復元(同PC)。別PCであればプータブルメディアの作成から行う。PXE Boot Toolもあるが、プロ版では非対応。ブータブルメディアを作成後にシステムバックアップ、別PCでAOMEIのWindows PEで起動してAOMEI Backupperが起動されるので復元するという流れ。
例②(①について)「念のためディスク全体をバックアップしておきたい」
ディスクバックアップ→復元(同PC)。別PCであればプータブルメディアの作成から行う。PXE Boot Toolもあるが、プロ版では非対応。
例③(①、②と併せて)「別途パーティション、ファイルも管理したい」
パーティションバックアップ、ファイルバックアップ→復元
※ 後ほど、同期クローンについても見るが、基本的にはバックアップと復元機能を扱えれば最低限問題無い。

初見でも分かる使用手順

ブータブルメディアの作成方法

OSの異常により起動できない場合や復元時には、ブータブルメディアを利用することで起動することができる。
このブータブルメディアは、ツール画面から作成する。ブータブルメディアとデバイスを選び、次へを押すと作成が実行される。ブータブルメディアをWindows PEにしているのは、Linuxブートブルディスクには幾つか欠点があるため。

Linuxブートブルディスクには、いくつかの欠点があります。例えば、ハードウェアRAIDはサポートされていないこと、やソフトウェアの一部の機能は使えないことがあります

「Windows PEまたはLinuxブータブルメディアの作成方法」より (2022/1/15参照)
ツール→ブータブルメディアの作成
Windows PEにチェック
DVDドライブ、USBブートデバイスから選択

フルバックアップ、増分バックアップ、差分バックアップの違い

バックアップ詳細設定

バックアップの種類には3種類ある。バックアップの設定画面から、バックアップスキームをクリック後、バックアップ方法を選択できる。以下、ざっくり図で違いを示した。
フルバックアップであれば、例えばデータが90GBであれば、それを毎回バックアップすることになり、時間も手間もかかる。その点、差分バックアップ増分バックアップであれば、2回目以降は、変更分をバックアップするだけなので、大幅にバックアップ時間を短縮できる。

フルバックアップ、増分バックアップ、差分バックアップの違い

バックアップについては、どのバックアップを取ろうと初回はフルバックアップとなり、指定したデータの全てをバックアップする。その後も定期的にフルバックアップを取っても問題ないが、データが大きい分バックアップに時間がかかり、空き容量も多く必要になる。
他方、差分バックアップ増分バックアップになると、バックアップ分は変更分だけになるので、大幅にデータ量を節約できるし、バックアップ時間も短く済む。
差分バックアップと増分バックアップの違いは、データ量と復元方法にある。差分バックアップはフルバックアップ+差分バックアップ分となり、フルバックアップ以外のデータを毎回全てバックアップする。対して、増分バックアップ前回のバックアップからの変更分だけをバックアップするので差分バックアップよりもデータ量は少なく済む。
しかし、差分バックアップだと、フルバックアップ以外に毎回の差分バックアップを復元すれば良いのに対して、増分バックアップは毎回の増分バックアップを全て復元しなくてはいけない。つまり、差分バックアップの場合には、一回ごとのバックアップがあれば復元可能だが、増分バックアップだとすべてをつなぎ合わせられないと完全にバックアップはできず、復元作業に影響が出る。
バックアップに優劣があるわけではなく、増分バックアップが必ずしも良いというわけでもないが、適宜状況に合わせて、差分バックアップか増分バックアップを使い分けるのが良いだろう。

メリット、デメリットのイメージ

バックアップしたイメージを復元する

さて、それではバックアップしたデータを実際に復元する。
試しに、バックアップしたファイルを復元してみる。

まず、タスクかイメージファイルを作成から選択する。ここではタスクから選択する。

タスクかイメージファイルを選択

バックアップしたタスク一覧が表示されるので、復元したい対象を選択して、次へを押す。

復元する対象を選択

イメージ情報が表示されるので、チェックを入れてやる。

復元するフォルダにチェックを入れる

復元場所を選択する。バックアップした場所とは違うところに復元することもできる。

復元場所の選択

復元を開始。問題無ければ、完了と表示される。

復元開始。完了

実際に復元場所を確認すると、問題無く復元できていた。
ファイルの場合には、実際に開いてみると元通り表示された。

復元成功

ちなみに、イメージファイルから選択の場合には、afi形式のファイルから復元したいファイルを選ぶことになる。

.afi形式のファイルから選ぶ

バックアップとクローン、同期の違いは

基本はバックアップから復元までの流れを把握すれば良いが、AOMEI Backupperには、クローン同期の機能もある。

バックアップ、クローン、同期イメージ

バックアップはこれまで見てきたように、データの復旧を目的にイメージを作成する。
クローンはハードからハードへと複製し、ハードの交換、換装などに使用される。バックアップはイメージを作成するので、同PCに複数のファイルを作成することができ、柔軟に復元のためのデータを保存できる。しかし、復元作業が必要になるため、そのままでは使えない。
クローン複製になるので、ハードディスクを変えてやればそのまま使うことができる。ただし、クローン元のハードディスクが正常かどうか、クローン先にも問題無いかどうか交換する際にはしっかり確認しておかないといけない。また、クローン先のデータはクローンにより置き換わるので、バックアップと違い複数作成とはいかない。
同期機能はファイルの変更、反映に使用するので、バックアップとは意味合いがそもそも異なる。

これらの運用としては、バックアップとしてのクローンを一つは確保しておいて、通常は増分バックアップと年に一回程度のフルバックアップをしておくのが良いと思う。確実なことは無いので、両者の特性を生かして併用するのが良い。同期については、必要であれば使用するに止める。クローンした後で同期という使い方もあるだろう。

実際の同期クローンの画面は、以下のようになっている。

同期の種類

各々の同期の特徴は、ざっくり言うと、こんな感じになっている。

ベーシック同期一方通行の同期、手動、追加される
ミラー同期一方通行の同期、手動、同期元に無いファイルは削除される
双方向同期どちらからも同期可能
リアルタイム同期…変更すれば自動で同期

クローンの種類

AOMEI Backupper について

システム要件

システム要件は以下の通り。

対応OS

Windows 11/ Windows 10 / Windows 8.1/8 / Windows 7 / Windows Vista / Windows XP(全てのエディション、32ビット版と64ビット版)

対応ファイルシステム

NTFS / FAT32/FAT16 / exFAT/ReFS / Ext2/Ext3/Ext4 / 

対応ディスク

マスターブートレコード(MBR)/ GUIDパーティションテーブル(GPT)/ GPT/UEFIブートディスク / ダイナミックディスクボリューム

対応ストレージデバイス

HDD / SSD / SSHD /外付けHDD(USB 1.0/2.0/3.0)/ PCカード / フラッシュドライブ / サムドライブ / リムーバブルメディア 等

料金と機能

今回使用した、AOMEI Backupper Professional版は、無期限版で税込6,028 円となっている。
バックアップソフトの価格帯としては、数千円から数万円するものまであるので、そこまで高い印象を受けない。
フリーソフトStandard版は使用できる機能に結構制限はあるが、最低限バックアップと復元をする分には困らないため、まずは無料版から試してみて、自分が使いやすいと思ったならPro版の購入を検討すれば良いと思う。

価格比較と機能の制限

終わりに

今使用しているPCに必要な情報を保存していない人はほぼいないだろう。
USBDASNASクラウド上に必要なファイルは保存しているから、最悪OSが壊れてもアプリはインストールしてやって、元の状態に戻せば良い。
でも、不慣れだとアプリのインストール、設定の見直しで、それまでの状態に戻すまでに時間がかかり業務に支障をきたす可能性が高い。だからこそ、日頃から定期的にバックアップを取っておき、必要であればリストアできるようにする。

バックアップとは、データの損失等の万が一の問題に備えるため、データをイメージとして予め複製しておくことである。このため、再度一から環境を構築し直すよりもはるかに工数を削減できる。
ただ、バックアップを復元すれば良いだけとは言え、個人ではあまり復元する機会がそもそも無いかもしれない。多少修理代はかかるが業者に依頼すれば知識がなくとも復元は可能だろうし、万が一のためのバックアップなので、そう何度も復元する機会は訪れない(企業の場合は別)。また、故障した段階で新しいPCに買い替えてしまうこともあるかもしれない。
ホームユースの場合には通常使用している範囲では復元する機会はほぼなくて、アプリとかちょっとした動作上の不具合とかも復元云々に関係ないから、「そもそもバックアップ復元なんて一度もやったことが無い」という人がいても不思議には思わない。

今回使用した「AOMEI Backupper Professional版」は、見やすいUIで且つ動作もスムーズで、ストレスフリーに操作できた。バックアップソフトに馴染みの薄い人でも扱いやすいソフトだと言える。また、ヘルプドキュメントが充実しているので、分からないところがあったときは、こちらを参照しやすい。個人でもデータの保護は重要な課題だと言えるので、まずは無料版からでも試してみて理解を深めていければ良いと思う。

無料版をダウンロードしたい場合

有料版をいきなり使うのはちょっと、という場合には、無料版から試してみると良いだろう。

AOMEI Backupper

異世界攻略班からは以上です。

参照

AOMEI Backupperヘルプガイド
ユーザー体験向上計画
Windows 10開発中の機能
AOMEI Backupperのバックアップスキームとは?
別のPCへシステムイメージを復元する方法
なぜ増分/差分バックアップが必要
バックアップ・リストアについて知ろう